2009年04月07日

リョーコさん

よく知りもしない年上の女と同じ部屋に泊まるなんて、どう考えてもおかしいけど
俺の身の回りで起こる事にくらべたら、そう、悪い話じゃない。
とにかく、畳の部屋と静かな空間と、白い布団が嬉しくて
俺は部屋に入るなりすぐに布団を敷いて、眠ってしまった。

目が醒めたのはもう夕方で、その時には部屋の中に夕食が運ばれていた。
まるで宴会のような大盤振る舞いで、女はいやにはしゃいでいる風で、一緒に食事をしようと言う。
まあ、俺もお腹が空いていたので、一緒に食べる。
ビールが無いのは残念だったけど、今日だけは、我慢しようかな…。

「あー、君。まだ名前聞いてなかったね」
「……イツキです」
「イツキくんかー。アタシ、リョーコ」
「リョーコ…さん…」

さして珍しくも無い名前に一瞬息が止まったのは、とても懐かしい、大切な人と同じ名前だったから。
でも、同じリョーコでも大違いだ。
野暮ったくて、華がなくて、艶がなくて…でも、どことなく優しい雰囲気は…少し、近い。

「イツキくんはさー、本当は…家出なんでしょー?」
「え…、まあ…そんな感じ…かな…」
「やっぱりねー。解るもん。駄目だよー、まだ子供なんだからー。アタシ、一緒にいたげるから少しゆっくりしてさー、そしたらウチに帰りなねー」
「…はあ…」

リョーコさんは上機嫌、と言うか、まるで躁状態で、解ったような口を聞いた。
正直ウザかったけど、それでもこうやって泊まる所が確保できたんだから…まあ、いいか。



お腹いっぱいご飯を食べて、その日はそのまま、また寝てしまった。



夜中。

ふと目をさますと窓際のカウチで
リョーコさんがしくしく、すすり泣いていた。


posted by 白黒ぼたん at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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