2009年04月27日

イツキとリョーコA

いつの間にか何の話をしていたのか解らなくなってしまった。

シクシク泣き続けるリョーコを、しばらくは放っておいたのだが…それは一向に止む気配はなく
終いには声を上げて、本格的に喚き始める。
仕方なくイツキは布団から起きて、そこらにあったティッシュやらタオルをリョーコに手渡す。
何を泣いているのか解らないけど、これではまるで自分が悪いようで、どうにも落ち着かない。

「…泣くなよ」
「…だっ…て、イツキくん…イツキくん……」
「何だよ…」
「…駄目だよ。…もっと、自分、大事にしなくちゃ…」
「…それはあんただって一緒だろ。俺はまだ…死のうとなんて、してないし…」
「……うわぁぁ……っっ……んっ」
「だいたい、何で、死にたいわけ?そんな酷い事でもあったの?」
「…だって…、だって……、あの人…、もう…アタシの事、いらないって……」
「男に振られたの?…それだけ?」
「それだけ…って……、アタシには…全部だったんだもん……っっ」

リョーコはこみ上げる嗚咽を飲み込みながら、やっとそこまで話すと、また「わぁ…」と声を上げて泣く。
イツキはそんな姿を呆れて、少し、羨ましく思って眺めていた。


自分の気持ちに素直なリョーコが可愛い。
無くしたら死んでしまうほどの思いで誰かを愛しているリョーコが、とても強く思えた。


「馬鹿だなぁ。そんなの、あんたの全部じゃないよ。きっと、まだ他に…楽しいことも、幸せなことも…あるよ。多分…」

イツキは

…本当に、そうだったら良いんだけど…と、自分で思いながら

リョーコの涙と鼻水を、タオルで拭いてやった。
posted by 白黒ぼたん at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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