2009年04月29日

イツキ、ご帰宅

部屋に帰ると

マサヤがいた。

リビングのソファで、煙草を吸いながら

酒を飲んで、テレビを見ていた。



リョーコさんとは次の日に別れた。
散々泣き喚いたリョーコさんは、何かふっ切れたみたいに元気になっていて
明るい顔で、俺に、偉そうに説教をしていた。

『イツキくんも、自分、大事にないと駄目だよー。イツキくんだって、大事な人がいるでしょ?イツキくんを大事な人だっているよ。絶対。多分。』

そんな言葉を信じるほど俺もお気軽じゃ無かったけど、ずっとこの旅館に泊まっている訳にもいかないし…逃げ回っている訳にもいかないし…

『連絡が付かないの?ケータイが繋がらないの? それね、お金払ってないだけだよ。ショップに行けば払えるよ』
『そう、なの?』
『そうだよー。そんな事も知らなかったの?おバカさんだねー』

毎日暗い顔で死に場所を探していた女にそう笑って言われて、少し、ムッとする。
それでも朝の日差しが入るテラスで、美味しい朝ごはんを食べながら話しをすると、それもそうだよな…なんて納得してしまう。

俺もたいがい、単純だけど。
時間と一緒に、色んなものを流して行くのは
悪い事じゃない。
そんな風に、考えて行かないと生きて行けない。
死なない以上、そうしていくしか無い。

駅のホームでリョーコさんとサヨナラをした。
最後に、ぎゅっと抱き締めあったのに、何の意味があったのかは解らないけど。




部屋に戻るとマサヤはチラリと俺を見て、また酒に手を伸ばした。
グラスを一気に空にすると、何も言わないまま、立ち上がって

寝室へと、向かった。



posted by 白黒ぼたん at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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