2009年08月05日

解り易い敵意




マサヤの事務所に行ったら、見た事がない男の人がいた。
多分、二十歳代…前半。キメキメの黒服で、オールバック。
ホストみたいな、チンピラみたいな、偉そうな男。
俺を見ると少し驚いた顔をしたけど、すぐに馬鹿にしたように口の端を吊り上げた。

俺は扉の前で止まって、中に入ろうかしばらく戸惑っていたけど
マサヤに「来い」と言われている以上、行かないわけには行かないので…中に入る。
とりあえず、男に、ペコリとお辞儀をして、狭い事務所のなるべく隅っこに立ってみた。

チラリと横目で様子を伺うけど、多分、意識して俺を無視している。
何も話さなくても、嫌悪感というか…まるで敵意のようなものが、ピリピリ伝わってくる。
そのまま気持の悪い沈黙が10分くらい続いた所で、やっと扉が開いて、マサヤが帰って来た。

「…あ…」
「お疲れ様です。社長」

俺が声を出すより早く、男はきちんとマサヤに向き直って綺麗なお辞儀をする。
マサヤも俺を見るより早く男に気が付いて、少し、…柔らかい表情を見せたりする。

「木崎。よく来たな」
「はい。これからよろしくお願いします」

キザキ、と呼ばれた男は緊張した面持ちで、深々と頭を下げる。
胸もとの金のネックレスと袖口から覗く派手な時計が、嫌味な位、目についた。

「イツキ」
「…えっ、あ、何?」
「外の車に一ノ宮がいる。一緒に行け。仕事だ」

マサヤは自分のアーロンチェアに座ると、ジャケットの内ポケットから煙草を取る。
すかさず、男がライターを持って、その煙草に火をつける。
しばらく待ってみても、それ以外の言葉は何も出てきなかったので、俺は「はい」と返事をして
言われた通りその場を離れる。

男の脇を通り過ぎた時


すごく、解り易く
フンと、鼻で笑われた。



posted by 白黒ぼたん at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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