2010年07月14日

最後の夜





その夜は、別段変わった事は無かったように思う。


黒川とイツキは夕方からずっと寝室に篭りきりで、互いを貪りあっていた。
何度も達したイツキの身体は、どんな小さな刺激でも敏感に感じるようになっていて
黒川がいたずらに背中に掌を這わせただけで、喘ぎに似たため息を洩らし、腰をひくつかせた。
それで充分満足しているのかと思えば、そうでも無く
少し、うとうとした後は、またいつの間にか始まってしまう。
髪の毛を引っ張り顔を上げさせ、無理やりこじ開けた口に、ペニスを押し込まなくても
イツキは、黒川の股座に頭を突っ込み、自分からそれを吸い上げていた。


水を飲みに台所に入る。
汗と精液だらけの身体をシャワーで流す。


ほんの数分、ベッドを離れただけでも
お互い引き寄せられるように、また、お互いの身体を求める。
意味のある言葉や会話が無くても、繋がっている間だけは、相手の事が理解できる気がして
指先を絡めて、視線を交わらせて、深く、深く…
身体の奥が熱く爛れて、混ざって、お互いの境目も解らなくなるほど…繋がっていた。


2人の動きが止まったのは、もう、真夜中を過ぎてからのこと。


疲れきった身体をベッドに投げ出して、うつらうつらしている所に、黒川のケータイが鳴る。
黒川は相手の名前を見ると、煙草を吸うついでにベッドから起き出して、リビングのソファで、なにやら話をしていた。
寝室に戻ると、イツキはすっかり眠っていて、もう深い寝息を立てている。
黒川は、そんなイツキの頭をぽんぽんと叩き、少し…苦い表情でため息をついて…
ベッドの足元に落ちていた毛布を拾い上げ、イツキの隣に横になった。


腕を回し、イツキを抱きしめると
イツキも寝ぼけたまま、黒川の胸に身体を預けた。




それが、
イツキが黒川の前から姿を消す、最後の夜の事だった。












posted by 白黒ぼたん at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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