2011年09月04日

終わりの言葉






「俺、真由子さんが小野寺とって話し、聞いた時…すごい、悪い事しちゃったなって…思った…。

俺のせいで…他の人が…酷い目に遭うなんて…。俺の身代わりになってくれたんだなって。
だから、もう、こんな事は嫌だなって思ったの。

でも、違った…。

俺の、替わりがいたら、俺はもう…いらなくなっちゃう気がして…焦ったんだ…」

「それで?」

「こんな事だけど…「仕事」でセックスするだけだけど…俺、それでずっと…マサヤの傍にいたから。

それが無くなると…俺、どしていいのか…解んなくなる

…だって、俺の取り柄って、それだけじゃん」

「そうだな」



黒川は適当な返事をイツキにしながら、綺麗に直したベッドにあがる。
イツキは、黒川の言葉の続きを待っていたのだが…どうやら無さそうだったので、ふうと溜息を付いて、頭を小さく左右に振ってみせた。

…立ち上がり毛布を引き摺ったまま、寝室を出ようとすると…

黒川はイツキに向かって手を伸ばし、指先で軽く、手招きをする。

イツキは黒川の傍らに立ち…
それを取っていいのかどうか、少し戸惑いながらも、指先を絡めた。

「何度も言わせるな。お前は、ただ俺の傍にいればいい」
「…人形みたいに?」

自嘲気味にイツキが笑うと、黒川も同じような笑みを浮かべる。

そして、繋いでいたイツキの手を強く引いた。



「人形の割にはよく喋るし、泣くし、面倒を起こしてばかりだがな…。まあ、いいだろう」

イツキがその言葉を聞いたのは、抱き締められた黒川の腕の中で、だった。




posted by 白黒ぼたん at 00:12 | TrackBack(0) | 日記
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