2011年09月06日

BAR・KAORU






黒川とイツキを乗せたタクシーのテールランプを眺めながら、一ノ宮はやれやれと言った風に大きく息を吐いて、1人、夜の街を歩き始める。
焼肉屋からさほど遠くない場所にある馴染みのバーに、吸い込まれるように向かう。

外装からは、そこが飲み屋だとは解らない造りだった。
看板も何もない、ただの黒い扉を開けると、地下に下りる細い階段があって、
その先に、ぼんやりと淡い光が見えた。

中扉を開けると、カウンターと、テーブル席が2つの、小さな空間。カウンターの中には洋酒の瓶が並び、そこには、長い黒髪を束ねた綺麗な女性が、シェーカーを振って立っていた。

「一ノ宮さま。いらっしゃいませ」
「すみません。こんな遅くに。一杯だけ、頂けますか?」

丁寧な挨拶をする一ノ宮に、女性は穏やかな笑顔で答え、自分の目の前の席に一ノ宮を勧めた。
かおる、という名のこの女性は、店のオーナーで、かおる、と言うのは、この店の名前でもあった。



年代もののウイスキーをストレートで飲みながら、一ノ宮は、これからやらなければいけない仕事をずらりと、頭の中で並べる。
そして、それを告げた時のイツキの顔を、想像してみる。
おそらく、今よりも状況は良くなると思えたが…それでも、それがどんな結果を生むのか、まるで検討も付かず
一ノ宮はグラスに口を付けながら、難しい表情を見せる。


かおるは、そんな一ノ宮を、特別な視線で見つめながら
チェイサー用のグラスを、目の前に、並べた。




(英語のタイトルって初めてかも!?)
posted by 白黒ぼたん at 01:22 | TrackBack(0) | 日記
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