2011年09月10日

事務所に3人






一ノ宮が事務所に戻ると、そこには黒川と西崎がいて、ビールを飲みながら出前の中華に箸を付けている最中だった。
真面目な仕事の話は一段落ついたようで、後は、どうでも良い四方山話をしている。
勧められるまま一ノ宮もご相伴に預かり、ソファの、黒川の向かい西崎の隣に座り、お疲れ様とグラスを傾けた。

西崎は新しいビールを開け、黒川と一ノ宮に注ぐと、自分のグラスにも手酌をした。


「…そうそう、社長。引越しは来週ですよね?手伝いに佐野でもやりますか?」

そう尋ねる西崎に、黒川は「いや」と首を横に振る。

「そんな事をしたら、どうせ奴のことだ、部屋に上がり込むだろう?…しばらくは、新しい住所も内緒にしておけ」
「はっはっ、まるで隔離状態ですね。いつまで持つか…」
「エロい菌を撒き散らしているからな、イツキは。…まあ、お前もせいぜい気を付けろ、西崎」
「……は、はいっ」

何か、その前に話しがあったのか…黒川が改めて釘を刺すような言い方をすると、西崎は萎縮して、裏返った声で返事をする。
その様子を一ノ宮はチラリと伺い、グラスに口を付けて、自分も黒川に質問をした。

「…社長。…イツキ君に今回の件は…説明していないんですか?」
「引越しの話しはしたぞ。荷物は片付きそうか?」
「そうではなく。…何故か、という事です。随分と不安がっていましたよ」
「…あの部屋には…散々男を連れ込んでいるからな。ケチが付いた、とでも言っておけ。…なあ、西崎」

「ああ、もう、社長、勘弁して下さいよ。…私は、部屋には行ってませんって!」

謝るように手を挙げる西崎を見て、黒川は声を上げて笑う。


それを見ていた一ノ宮は、相変わらずの黒川の、イツキへの接し方に、呆れたような深い溜息をついた。





posted by 白黒ぼたん at 00:20 | TrackBack(0) | 日記
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