2011年09月12日

数日後






黒川が部屋に戻ると、そこは…泥棒が入ったか嵐が過ぎ去った後か…荒れ放題に荒れていた。
そこいらにダンボールが転がり、服が乱れ、戸棚が開き、物が散乱していた。

イツキはと言えば、その奥。さらに荒れた寝室の、毛布やらシーツやらが乱れたベッドの中に、巣籠りするリスのように丸まっていた。

「酷いな」

黒川が笑いながらそう言い、毛布を捲ると、膨れっ面のイツキが顔を覗かせる。
眠っていたわけでは無いようで、黒川を一度見遣ると、また拗ねた表情で毛布に潜り込む。

「…俺、こういうの嫌い。…片付けとか…」
「自分のものだけ詰めればいいだろう。服と…夜のオモチャくらいか?」
「…それが嫌。…俺って…、何も…持ってないんだなって…改めて…思った……」

ベッドの縁に座り、黒川は煙草に火を付ける。
足元にはゴミ袋が口を開けたまま置いてあり、そこには、ガラクタ同然の玩具が捨てられていた。

「…好きな本も、ゲームも…、子供の頃のアルバムも、何も。…何も持ってないんだ、俺…」
「そうだな。身、一つって奴か。は、は。身軽でいいだろう」

冗談めかした黒川の口調に、イツキはもう一度顔を上げて、黒川を見る。



何かにすがるようにイツキが、手を、伸ばすと、

それを、黒川が、握った。



「…マサヤ。…俺、どこ行くの?…今度は、どうなるの?」
「お前は、いつもそう心配してばかりだな。…逆に、どうしたいんだ?」
「俺は……」


開きかけた口を、黒川が塞いでしまったので、
言葉の続きは、少し、待たなければいけなかった。




posted by 白黒ぼたん at 00:16 | TrackBack(0) | 日記
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