2011年09月15日

びっくり佐野っち





「引越し?…いつだよ?」
「来週」
「どこに?」
「…知らない」

ラーメンの麺を箸で摘んだまま、佐野は驚いた顔をして、イツキを見つめた。

イツキに会うのは数週間ぶりりだった。
たった数日、会わないだけで、イツキの周りは驚くほど変化する。

最後に会ったのはイツキの部屋で、手は出さないつもりだったのに、結局、手どころかアレまで出してしまった。
藤田社長にレイプされて、さぞ落ち込んでいるのだろうと思いきや、イツキが心を痛めていたのは真由子への嫉妬で…
その辺の事情があって、自分から小野寺に抱かれて行くなんて馬鹿な事もしたんだと思ったのだが、本当のところはよく解らない。

「…急だな…。何でまた引越しなんかするんだよ?」
「俺だって知らないよ」
「…俺と…したのが…バレたのか?…それで、なんか…」
「そんなのとっくにバレてるよ。すごい怒られたけど、多分、それとは別」
「バレてんのか!」

箸のラーメンをつるりと落として、佐野は素っ頓狂な声を上げた。
黒川とはついこの間、仕事であちこち一緒に回っていたのに、そんな話は一言も出て出てこなかった。
それは、もう黒川の中で片付いた問題だったし、そもそも佐野に責任を取らせるつもりもなかったのだろうが…それでも知っていると知らないとでは大違いだろう。
自分がどんな目で黒川に見られていたのかと思うと、佐野の胃がキリキリと痛んだ。


「…お前は…、大丈夫なのかよ?」
「…多分」

色んな意味を含めて佐野がそう尋ねると、イツキはラーメンの汁をすすりながら、小さな声でそう返事をした。





posted by 白黒ぼたん at 00:23 | TrackBack(0) | 日記
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