2020年02月19日

一週間・6







食事が終わり、また二人でタクシーに乗り込み、帰宅の途に就く。

途中の道沿いに、ラブホテルの看板を見掛ける度に、そこに車が入って行くのではないかと…イツキは…固唾を飲み
何事もなく通り過ぎると、ほっと胸を撫でおろし、松田は何を考えているのだろうと…様子を伺い…
気配に気づいた松田がこちらを見ると、慌てて視線を逸らす。

そんな事を、二度三度、繰り返した。





「じゃあね。今度はお寿司にしよう。また連絡するよ」

イツキのアパートの前で、そう言って、にこやかに手を振り、別れる。
ありがとうございました、とイツキが頭を下げる。そして、本当にそのまま、松田は行ってしまう。

遠ざかるタクシーのテールランプを眺めながら、イツキは、……ある程度はそうなる事を期待していたのだと……、自覚し、反省する。


知ってはいるけど、本当に…、自分はユルイ。嫌、と言いながらも簡単に、流されてしまう。



「………駄目だなぁ…、俺。………フラフラして。…結局、松田さんのコト、…待ってるみたいじゃん。……駄目じゃん…。
……こんなんだったら、逆に…、マサヤが傍にいて、目、光らせてくれてる方が…、いいなぁ……」



自分の節操のなさに溜息を付きながら、イツキは、アパートの外階段を昇って行った。




時間は深夜0時。隣の部屋の住人は、まだ帰宅していないのか、部屋は暗い様子。
自室のドアのカギをポケットから探す。少し手元が覚束ないのは、酔いが回っているためか…。





posted by 白黒ぼたん at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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