2025年04月20日

焼肉・3








「お待たせいたしました。生ビール3つと上カルビです。
空いているお皿、お下げしまーす」


真面目な話を賑やかな飲食店でというのは良し悪しだろう。
勢いに乗じて話せる事もあれば、絶妙な間合いで中断される事もある。
イツキは、自分が言った言葉はさして重みが無かったかのように、会話を中断し、店員から皿を受け取る。

黒川は、イツキの言葉に返事をする間合いを無くした事に、少し……息をつき
その様子に気付いた一ノ宮は、息を飲む。
イツキは、

来たばかりのジョッキのビールを、ごくごくと勢いよく煽る。

急いで酔っ払いたいのか、何か理由があるのか、何なのか。



「…はは。イツキくん、良い飲みっぷりですね。
そう言えば…こうやってイツキくんと外で飲むのも珍しいですよね…」
「やっとハタチですもん。いくら飲んでも怒られないんでしょ?」


息継ぎもせずジョッキの半分を飲み、イツキが笑う。
今どきのタブレット注文で次のビールを頼み、鉄板の焼けた肉を裏返す。


「…一ノ宮さん」
「…はい?」



ふいに間が開くと身構えてします。別段、
悪いことをしている訳ではない。そう、緊張する間柄でもないのだけれど
どうにも



イツキの間合いはオカシイのだ。
それは、身体の関係がある無しに問わず妙に
気を。持たせ過ぎる。













posted by 白黒ぼたん at 23:05 | TrackBack(0) | 日記