2019年11月06日

フェスタ・1







朝は4時起き。……の、つもりが、気が付くと迎えが来る時間の10分前だった。
もともと早起きは苦手。鳴った目覚ましを自分で止めてしまったらしい。
顔を洗い、服を着替え、カバンに必要な物を放り込む。
ケータイの充電を確認しなかったのは、ここ一番の、大失敗だった。

ほどなく社長の奥方が運転する車が、アパートに到着する。
6人乗りのワンボックス。助手席に社長。後ろに小森と、ミカ。

「………もう、無理。眠いし…、……ビューラー持って来るの…忘れちゃったし…、最悪……」

ミカも寝坊したらくし、そう零しながら、車の中で化粧をしていた。



会場に入ってからも、大変だった。
諸々の事情でブースが変更になり、棚や商品を全て移動しなければならなかった。
イベントが始まると、予想以上の人の入りに驚くばかり。
その上、社長はまた腰が痛いと言い出し、奥方は運転の疲れが出たと言い、ほぼ使い物にならず、
ミカと小森は前面で、商品の説明。イツキは会計と包装。
休憩も取れずに夕方まで立ちっぱなし、ひたすら、声を出し、動き回っていた。




それでも




「……ありがとうございます。商品、こちらになります…」
「ココの、ずっとネットで見ていたのだけど、実物が見られて良かったわ。やっぱり香りが素敵で……、ありがとうね」


イツキが紙袋を手渡すと、年配の女性客はそう言って嬉しそうに微笑む。
その笑顔に和む。

商品を売って、ありがとうと礼を言われるなど、不思議な商売だな…と、改めてイツキは思った。






posted by 白黒ぼたん at 23:01| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
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