2023年11月28日

イツキと虎松








数日後。



1人でハーバルにいた昼間、ふいに、二条虎松が姿を現した。
イツキは当然身を強張らせ、カウンターの奥に行き、助けを呼べるようにとスマホを握りしめたのだが
二条は、何もしないよと両手を上げ、穏やかに笑いかけるのだった。


「いや、どうも。…この間は……悪かったね。はは」
「……何のご用ですか?」
「そう警戒しなさんなって。何もしないよ。…いやぁ、上から散々怒られたよ」


二条はカウンター前のスツールに勝手に座り、上着の内ポケットをガサガサとやると
タバコと、封筒を出し、カウンターの上に置く。

イツキは、一応まだ警戒中。



「…コレ、小切手。…土地の契約とは別にね」
「…なんでですか?」
「まあ、迷惑料ってやつよ。…上から色々。…いやぁ、大変だったんだから…
キミさ、ヤバい子なんだったら、もっと解りやすくしなきゃ駄目だよ。ホント…」


イツキがいわゆる「黒川の女」だと解り、それなりの咎はあったらしい。
二条と黒川に面識は無かったが、上を辿れば、何かしらの繋がりはあるものだ。


「……俺、バックがいるから、駄目だって……言いましたよ」
「いやいや。ただのウリとか、そういうレベルじゃないでしょ、まったく」


そう言って、呆れたように軽く笑う様子が、少し、…可愛く思えて

イツキも少し、微笑んでしまった。






posted by 白黒ぼたん at 00:02 | TrackBack(0) | 日記