2020年02月17日

一週間・5






金曜日。仕事が終わってから松田と、食事に行った。
先日の会食のお礼なのだと言うが…、食事をするたびにお返しがあるのなら、今日のお返しも、また次にあるのかも知れない。

「………コレ、ずっと、繰り返ししちゃうんですか?」

イツキがそう言うと、松田は「それもいいね」と軽やかに笑った。




タクシーで乗り付けた郊外の焼肉屋。
松田はイツキに肉をたらふく食わせ、ビールを勧め、途中途中にオモシロイ話を挟み大いに笑わせる。
イツキの儚い警戒心など簡単に吹き飛んでしまうが、意外と、松田はそれ以上イツキに迫って来ない。
黒川の影がチラつくのか、のんびり攻めようという作戦なのか……、意外過ぎて逆にイツキが、気を遣ってしまうほどだった。



もっとも松田は、この状況でも、十分楽しんでいた。
仕事もプライベートも問わず、セックスをする相手には不自由しておらず、取り急ぎ、イツキにそれを求める必要もなかった。

今はただ、イツキを見ているだけで、面白い。
トングで骨付きカルビを持ち上げ、どうやってハサミを入れようかと悪戦苦闘している様子は、次々に男をたぶらかすという「新宿の黒川の情婦」とはかけ離れていて、
本当に同一人物か、どこが繋がっているのか、まるで謎解きか答え合わせをしているようで、興味深かった。



「……松田さん、笑ってますね?……俺がお肉、切るの、下手糞だからですね?
これは…わざとです。骨の周りが一番美味しいって言うでしょ?
…あとで食べる用に、取っておいてるんです!」


大真面目な顔でイツキはそう言って、さらに松田を笑わせるのだった。




posted by 白黒ぼたん at 22:44| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記
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