2025年04月15日
焼肉・2
「…イツキくん、最近お仕事の方はどうですか?」
「最近は……ちょっと暇です。ミカちゃんも戻って来たので…」
焼けた肉を裏返しながらビールを飲みながら、イツキと一ノ宮で近況報告。
ミカは産後三ヶ月。本格的に復帰という訳にはいかないのだが
近所に住んでいる義理の母親が非常に好意的で、週に1日、2日、ミカの気分転換も兼ねて
仕事に出ることに協力してくれている。
それに加えて、実はハーバル自体あまり業績がよろしくないようで…仕事量としては減っていて
当然、イツキが担当する仕事も、少なくなっているのだ。
「今のお店も…どうかな、続けられるのかな。
また、通信販売専門に戻すかも…なんて言ってて、そうしたら俺の仕事も無くなっちゃうかも…」
「まあ、都内に拠点となるとそれだけで経費が掛かりますからね」
黒川は黙ってジョッキを傾けながら、イツキと一ノ宮の話を聞く。
少し訝しむ顔をしていたのは、そういった仕事の話を、自分は知らなかったからだ。
けれど、それは、認識の違いで。
イツキは普通に普段、愚痴めいた話をこぼしていたのだけど
黒川が、さっぱり話を聞いていなかっただけなのだ。
「…東京のお店、閉まっちゃったら…、俺、また本社に戻ろうかな。
意外と向こうでの生活、楽しかったからなぁ……」
多分、冗談だと思うイツキの言葉に一ノ宮は笑い
黒川は
「行け、行け。お前には田舎暮らしが丁度良いだろう」と
相変わらずの憎まれ口を叩いた。
「俺が、いなくなっちゃっても、良いの? マサヤ?」
posted by 白黒ぼたん at 00:47
| TrackBack(0)
| 日記