2025年04月10日

探り合い焼肉








「カルビとタン塩。ハラミはタレで。あとサンチュとオイキムチ。
ビールが3つ。…あ、ビールで良かったですか?一ノ宮さん」
「ええ」


イツキと黒川の焼肉屋に、一ノ宮も同席していた。
イツキが強く誘ったからだ。
もちろん一ノ宮は最初は断ったのだが…多少は、イツキと黒川の普段の様子というものに興味はある。
黒川は、……何かやましい事があるのだろうか、イツキの提案を拒む事が出来ない。


「じゃあ、お疲れ様です。ふふ。このメンバーって、珍しいですよねぇ」


ジョッキをカチンと鳴らして、イツキが笑う。
敬語が混ざるのは一ノ宮がいるせいだが、それにしても何か、白々しく奇妙に明るい。

隠し事があるのか、隠され事があるのか、訝しむ目で黒川が見るとイツキと視線が合う。
ともすればすぐに、言い争いになるのか

それを避けるための、一ノ宮なのかと、

アレコレ余計な事を考えてしまう。




「マサヤ。骨付き、骨付き。押さえてるからハサミで切って」
「…はいはい」
「まだ赤いかな?大丈夫かな?」
「イケるだろう。…ほら、イツキ。皿、寄越せ…」




一ノ宮から見れば、2人は探りを入れ合っている風にも見え

ただ、仲良く焼肉を突いているだけにも見える。

どちらにせよ甘いデレっぷりを見せつけられて
つい、珍しく、手元の酒の進みが早くなった。





posted by 白黒ぼたん at 00:02 | TrackBack(0) | 日記