2025年04月08日

一応、仕事








「社長、飛行機のチケット、先にお渡ししておきます。13時羽田です」
「ああ」
「車は手配しますか?運転手付きでも…」
「いや、タクシーで十分だろう。あそこはホテルから近いし…」


週末の予定について黒川と一ノ宮は打ち合わせ中。
数日滞在し、地方のお偉い方とアレコレ交友を深める、一応仕事なのだ。

ふいに、黒川がスマホを取り出し耳に当てる。
それはイツキからの着信で、あと10分程でこちらに到着するという内容だった。


「イツキ君ですか?」
「ああ。これからメシだ。…角の焼肉屋にでも行くかな」
「イツキ君は、今回の件はもう知っているのですか?」
「ああ。別に大した話じゃないだろう?」


確かに大した話ではない。
黒川が「商売道具」を伴って出掛け、その先で、怪しげな会合に参加するなど
イツキも、過去に何度か経験したことがある。

今回はユウを連れて行く。

イツキが「仕事」をする訳ではないのだ。
文句を言われる筋合いも無いはずだ。



「少し不機嫌そうだったがな、はは。あいつ、本当は仕事がしたいのかも知れんぞ。
何だかんだ、刺激が足りないと、欲求不満なんだろう。
まあ、…酒、飲んで、良い肉でも喰えば気も収まるだろうよ」




と、相変わらずな事を黒川が言い、一ノ宮が軽く呆れたろころで
事務所の扉が開きイツキが入って来た。






posted by 白黒ぼたん at 00:04 | TrackBack(0) | 日記