2026年05月21日
報告会
翌日。
イツキはミカのいるハーバルの店舗に顔を出し、
諸々報告と、細かな仕事を片付ける。
「……まさか林田くんがハーバルに入るとは思わなかったけど…」
「でも、取引先周りのことも解ってるし、ツテもあるし、ありがたいですよ」
「まあね。地元だしね。ああ、でもアタシはちょっと会いづらいかもー」
一時、林田と交際関係にあったミカは少し困ったようにそう言う。
…そんな事を言えば、イツキだって林田とアレコレあった訳だが、
もうそれは過去の話と、まるで気にしていない。
それを気にしていては、イツキは誰ともほぼ、会えなくなってしまう。
昼過ぎにハーバルを後にして黒川の事務所に向かう。
待ち合わせて食事に行く約束だが、黒川はまだ、所用から戻らないらしい。
留守番の一ノ宮は珈琲を淹れ、貰い物の良いチョコレートの包みを開ける。
「イツキくん。暫く見ない内に随分と、…大人っぽくなりましたね」
「……まあね」
イツキは照れ隠しにそう言って笑い、チョコレートを摘み、今度は本当に微笑む。
確かに、黒川の元を離れハーバルできちんと仕事をしているのだ
顔つきもどこか、キリリとした精悍さが漂うようになった。
「自立するのは良いことだと思いますよ。社長は、寂しいようですが」
「マサヤが?そんな事、思う?…まさか」
「出来る事ならずっと手元に置きたいのでしょう…」
『ペットのように』と言おうとして、いや、それでは例えが悪いと一ノ宮は口を噤む。
『奴隷』でも無いし『アクセサリー』でも無い。『子供』とも違う。
「大事なパートナーですからね」
慎重に言葉を選び一ノ宮がそう言うと
イツキは一瞬、真面目な表情を見せ、その言葉をこくんと飲み込んだ。
posted by 白黒ぼたん at 01:27
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